日本の働きかけも国境再開は不透明、安全保障を巡る対立続く

日本の働きかけも国境再開は不透明、安全保障を巡る対立続く
2025年09月17日(水)00時00分 公開
日本の働きかけも国境再開は不透明、安全保障を巡る対立続く

<写真:khmertimeskh.com>

 

カンボジアとタイの国境地帯における軍事的緊張が続く中、日本政府の要請にもかかわらず、両国の陸路国境再開の見通しは立っていない。

 

オースマック国際検問所(オッダー・ミエンチェイ州)はすでに2カ月以上閉鎖されたままである。

 

9月上旬、カンボジア・ココン州で開かれたカンボジア・タイ国境委員会(GBC)では、国境管理をめぐる課題が協議され、日本側からの再開要請も伝達された。

 

会議後、カンボジアのティア・セイハ国防相は「日本は物流や地域の供給網維持の観点から、必要物資輸送を目的とした検問所再開を提案した」と説明した。

 

しかし、タイ側は警戒姿勢を崩していない。タイ国防省は、重火器の撤去、地雷除去、オンライン詐欺対策の3条件が整わなければ国境を開かないと強調した。

 

外務省報道官も「合意事項が履行されるまで緩和措置は取らない」と述べ、方針を重ねて確認した。

 

アヌティン首相も「銃口が向き合う限り国境は開かない」と述べ、再開に否定的な立場を示した。

 

一方、カンボジアのフン・マネット首相は、係争地からの撤兵要求を断固として拒否している。

 

「停戦交渉は戦闘停止に限定され、国境線の画定は今後も平和的手段で進める」との考えを改めて示した。

 

こうした状況の中、日本政府による再開への働きかけは、タイ国内で一部反発を招いている。

 

民族主義者らは日本大使館のSNSに抗議の声を寄せており、外交的な波紋が広がっている。

 

国境閉鎖の長期化は両国経済に深刻な影響を及ぼしつつある。

 

日本企業はタイとカンボジアで自動車や電子部品、農産加工などで重要な供給網を構築している。

 

2024年には日本からカンボジアへの投資が前年比20%以上増加し、日カンボジア間の貿易総額は約20億ドルに達した。

 

特に国境付近の経済特区では衣料・履物工場が多数稼働し、数千人規模のカンボジア人労働者が従事している。

 

タイ側の工場もカンボジア人労働力に依存しており、封鎖は雇用や生産活動の停滞を招いている。

 

カンボジア国際関係研究所のキン・ピア所長は「国境再開は当面の優先課題ではない」と指摘する一方、専門家の間では長期的に投資環境や雇用への悪影響が避けられないとの見方が強まっている。

 

 

 

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