縫製業などの最低賃金、月額210ドルに引き上げ

縫製業などの最低賃金、月額210ドルに引き上げ
2025年09月19日(金)00時00分 公開
縫製業などの最低賃金、月額210ドルに引き上げ

<写真:khmertimeskh.com>

 

カンボジア政府は2026年1月より、縫製、履物、旅行用品業界に従事する労働者の最低月額賃金を2ドル引き上げ、210ドルとする方針を正式に決定した。

 

この措置は、労働組合、雇用者、政府関係者による23回に及ぶ協議の結果、フン・マネット首相の承認を経て実現したものである。

 

労使交渉において、雇用者側は国際競争の激化や米国による関税措置などを理由に、現行の208ドルの維持を主張していた。

 

一方、労働組合は労働者の生活水準維持の観点から小幅な賃上げを求め、最終的に全国最低賃金審議会(NCMW)が210ドルを政府に勧告し、承認された。

 

この最低賃金に加え、出勤手当や食費・交通費の補助が支給されるため、労働者の実質的な月収は227〜238ドルに達する見込みである。

 

労働職業訓練省のヘン・ソウル大臣は「世界経済の不透明感が続く中にあっても、政府は労働者の生活改善を優先し、賃上げを決定した」と述べた。

 

また、同大臣は、水道料金、電気代、家賃などの生活コストが不当に引き上げられないよう、政府による監視体制を強化する方針も明らかにした。

 

今回の決定に対して、労働者代表団体や労働組合は歓迎の意を示している。

 

全国労働組合連合のファー・サリー議長は「今回の賃上げは小幅ながらも、労働者の負担軽減や熟練労働者の維持、さらには海外からの投資誘致にも寄与する」と評価した。

 

一方、雇用者側は、米国の関税政策や国内における労働力の急増などに対して懸念を表明している。

 

現在、タイからの帰国労働者の数は92万人を超えており、労働市場における競争が激化している。

 

これを受けて、政府は毎日1万件の雇用創出を目標に掲げており、民間部門との連携が不可欠とされている。

 

なお、2025年上半期における縫製・履物・旅行用品の輸出額は、前年同期比22%増の73億8000万ドルに達しており、関連産業の輸出は堅調に推移している。

 

しかしながら、今回の0.96%という賃金引き上げ率は、2025年に予測されるインフレ率2.3%を下回っており、生活費上昇を完全に吸収するには至らないとの指摘も出ている。

 

 

 

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