おすすめのプロモーション
<写真:Radio Free Asia>
2022年11月16日に野生生物保護担当のカンボジア政府関係者が、絶滅危惧種のサル密輸に関与したとしてアメリカで逮捕された事件で、別のカンボジア政府高官も関与した疑惑が浮上している。
ラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。
同事件は「バニー・リソース社」の創業者ジェームス・マン・サン・ラウ氏が、従業員5人とカンボジア農林水産省の高官2人とともに、密猟されたカニクイザル数千匹をサル農場を通じて飼育・繁殖したものと偽り、医療研究用としてアメリカに輸出したとして起訴されていた。
この事件で起訴された高官2人は森林局副部長級であるマッパル・クリー被告、森林局局長のオマリス・ケオ被告で、現在はバージニア州で軟禁され、2月末にマイアミで行われる公判を待っている。
RFAの報道によると、カンボジア農林水産省・家畜生産衛生局で輸出用サルの健康証明書を発行していたセン・ソヴァン局長が、「バニー・リソース社」と関係があることが明らかになったという。
企業データを公開する団体「Open Corporates」が2019年にアーカイブした記録では、同局長が「P and Cei Import Export Co. Ltd.」という企業を、バニー・リソース社のジェームス・マン・サン・ラウ氏と共同所有していることが判明している。
同局長はRFAに対し、2016年にカルド・イップというカナダ人に株式を売却したと述べているが、同社の記録にはイップという名前が記録されていない。
セン氏はRFAとのメールで「イップ氏は普通の友人であるが、親しくはないため連絡先を知らない」としている。また、イップ氏がP and Cie社の株式にいくら支払ったかについては言及を避けたという。
セン氏はカンダル州にサル農場があると話していたが、「この土地は何に使われているのか分からない」として後に発言を撤回している。
P and Cie社の登録住所は、オンラインに記載されているサル農場の住所と一致しているように見えるが、どちらも地方で見られる道路名や家屋番号の記載はない。
カニクイザルを医学研究のためにアメリカへ輸出する場合、オーナーは飼育下での繁殖と健康状態を保証する書類をアメリカ当局へ提出する必要があり、飼育下での繁殖を証明する書類はワシントン条約に基づいて発行された許可証で、輸出国のワシントン条約事務局が署名する。
カンボジアの場合は農林水産省傘下である森林局の一部が事務局を担っている。
カニクイザルは新型コロナウイルスワクチンの試験やアルツハイマー病の研究モデル、農薬のヒトに対する毒性を確認するために用いられ、パンデミックで需要が急増したことを受け、国際自然保護連合(IUCN)が2022年に絶滅危惧種へ指定した。
ラウ氏をはじめとする被告人6人に対する起訴状では、被告人らが農林水産省およびその他の機関と共謀し、輸出書類に虚偽の内容を記載したとされている。
輸出するカニクイザルが病気を患っていないことを証明する健康証明書については、セン氏が率いる家畜生産衛生局が発行していた。
P and Cie社はラウ氏との共同経営ということになっているが、セン氏はラウ氏との関わりはないと否定している。
RFAはセン氏からのコメントを得られていないという。
※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。