殺虫剤が効かないデング熱媒介の蚊、カンボジア含む東南アジアで拡大

殺虫剤が効かないデング熱媒介の蚊、カンボジア含む東南アジアで拡大
2023年02月06日 14時27分 公開
殺虫剤が効かないデング熱媒介の蚊、カンボジア含む東南アジアで拡大

<写真:Khmer Times>

 

カンボジアをはじめとする東南アジアで、殺虫剤に耐性を持った蚊が増加していることが明らかになった。

 

国立感染症研究所の葛西真治・昆虫医科学部長らは、黄熱やデング熱、ジカ熱を媒介するネッタイシマカに殺虫剤への耐性を強める遺伝子の変異を発見し、カンボジアやベトナムでは8割以上の蚊がこの変異を持っていたことを報告した。

 

研究チームは東南アジア諸国で蚊を採取して一般的な殺虫剤であるピレスロイド系殺虫剤への耐性調査を行い、ベトナム・ハノイ市で採取した蚊は、通常濃度10倍の殺虫剤を使用しても約8割が生き残ったという。

 

蚊の交配実験や遺伝子分析などによって一般的な殺虫剤に耐性を持つ「L982W」という新しい遺伝子変異が特定され、カンボジアのプノンペンでは78%、ハノイ市やホーチミン市などベトナムの3都市では79~99%の蚊がこの変異を持っていることが明らかになった。

 

今回の「L982W」を含めると殺虫剤耐性に関する4つの遺伝子変異が発見されており、プノンペンでは4つのうち2つの遺伝子変異を持つ蚊の割合が91%で、耐性が強まっていることが報告されている。

 

ラオスやタイ、中国では「L982W」の遺伝子変異を持つ蚊は発見されていないが、インドシナ半島を越えて他のアジア地域にも徐々に広がっている可能性があるという。

 

葛西部長によると、インドシナ半島で殺虫剤耐性を持つ蚊の分布を調査した上で、他系統の殺虫剤使用や別の駆除方法との併用といった対策が必要である。

 

デング熱はウイルスを持つネッタイシマカやヒトスジシマカに刺されることで感染し、高熱や頭痛、目の奥の痛み、筋肉や関節への痛み、吐き気、嘔吐、発疹といった症状がみられる。

 

 

 

[© poste-kh.com 2016-2024 All Rights Reserved.]
※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。

ホットニュース

Choose Classified categories