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<写真:Khmer Times>
欧州議会がカンボジアにおける野党弾圧の疑いについて表明したことを受け、同国国民議会は失望を表明した。
欧州議会は16日に可決された決議の中で、欧州委員会に対してカンボジア当局との継続的な関与強化のための人権ベンチマークを定義し、同国の市民社会および人権擁護者を支援するように要請した。
また、欧州議会議員らはカンボジアに対して、7月の総選挙における自由で公正な選挙や全政党による選挙活動の実施承認を要請するとともに、国際連合人権理事会に対して同国の人権侵害を主張し、対象を絞った制裁の採択を要請している。
欧州議会の動きを受けたカンボジア国民議会は、欧州議会がカンボジアの権利を尊重していないとして遺憾の意を表明した。
25日の声明でカンボジア国民議会は「我々は欧州議会の決議を拒否する。これは国連加盟国の主権的権利に対する明白な侵害である。カンボジアの姿勢と行動は同国憲法と全現行国内法および規則、特に民法および刑法に適合している」と述べている。
また、カンボジア国民議会は同決議が欧州議会の左翼団体によるものであり、「小国の民主主義や正義、法支配の価値遵守のための努力を無視するものである」として、政治的虐待と内政への干渉を非難した。
同声明ではカンボジアが欧州連合(EU)との友好・協力関係を重視しており、対等なパートナーシップと対等な主権を柱とするASEANとEUの包括的戦略パートナーシップ強化に寄与してきたことにも触れられている。
同決議は16日にフランス・ストラスブールで開催された会議で、賛成496、反対11、棄権36で採択された。
同決議では野党指導者ケム・ソカ氏と政治的動機に基づく有罪判決等で拘束中の全野党活動家の即時且つ無条件の釈放が要求されており、次回総選挙が国際基準から逸脱し、人権侵害が継続している場合にはEBA協定(武器以外の製品を無関税で輸出できる協定)の更なる停止を含めた政治的制裁が要請されている。
また、同決議には閉鎖措置となった「Voice of Democracy(VOD)」を即時的に再開させる要請も含まれる。
カンボジア王立アカデミー国際関係研究所のKin Phea事務局長によると、ケム・ソカ氏の裁判は民主主義国家であるカンボジアの司法の下でのプロセスである。
同氏は同決議について、「政治的な動機があるように思われる。EUがカンボジアに命令を下す立場にあると考えていることが分かる行動である」と述べるとともに、後進国脱退が近いカンボジアにとってEBA撤廃に向けた強化を行う良い機会であるとしている。
2020年8月12日にEUは、カンボジアにおける人権侵害の改善が見られないとして、衣料品、履物、旅行用品といった同国の輸出品約20%に対する特恵関税を停止した。
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