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<写真:iStock>
アジア開発銀行(ADB)は、カンボジアの国内総生産(GDP)成長率が2023年に5.5%、2024年は6%に達し、インフレ圧力は緩やかになると予測している。
クメールタイムズ(電子版)が報じた。
ADBが4日に発表した「アジア経済見通し2023年版(ADO)」によると、同国は観光業の回復がより堅調で、サービス部門の成長率が高いため、今後の経済成長が見込まれている。
同国における観光業と農業は2023年にそれぞれ7.3%と1.1%の成長、2024年は観光業の成長率が6.8%、農業は1.2%の成長になると予測される。産業は2022年に8.3%へ上昇したが、2023年に5.8%、2024年は7.8%と成長が鈍化する見込みである。
ADBのカントリーディレクターであるジョサナ・バルマ氏によると、カンボジア経済は世界的な需要低下にも関わらず、観光業の回復が続いたことで2022年も好調を維持しており、2023年の同国経済は堅調な成長で経常赤字が縮小し、緩やかなインフレとなり、ポジティブな見通しであるという。
この見通しに対するリスクとして、同氏は米国と欧州の成長鈍化や民間債務の高水準化、中国の観光客到着数と海外直接投資の予想以下の伸び、エネルギー価格の高騰、農業の生産性に影響を与える異常気象などを挙げている。
カンボジアの工業生産高は2023年に5.8%成長し、2024年には7.8%まで加速すると予想されているが、建設業の成長は低いままであると予想されている。農業は輸出用の作物生産に後押しされて成長する見込みである。
観光業の回復が2023年もサービス業の成長原動力となり、カンボジア最大の観光市場である中国が成長力強化の原動力となっている。
カンボジア政府は経済成長を支えるために拡張的な財政政策を追求することが予想される。同報告書によると、一般政府業務の財政予算は2023年にGDPの5%に相当する16億ドル(約2108億4640万円)の赤字を見込んでいる。
歳入はGDPの21.6%、歳出は26.6%の予算で、赤字は政府貯蓄の2億ドル(約263億4780万円)、ソブリン債の2億ドル、海外借入金の12億ドル(約1581億420万円)で賄う予定である。
ADBはカンボジアの債務苦リスクが低く、公的対外債務は2023年にGDP比34.7%、2024年に34.5%と管理可能な水準に上昇すると予測している。
また、2023年に発行予定の2億ドルの国債は、政府に代替資金源と金融政策管理の手段を提供し、機関投資家により多くの投資オプションを提供することになる。
商品輸出の伸びは2023年に7%へ鈍化するが、2024年には9.5%に回復する見込みで、商品輸入は2023年に1.5%減少し、2024年は6.5%増加することが予測されている。
また、サービス貿易赤字は中国の再開に支えられた観光業の回復によって黒字に転じるという。
総外貨準備高は2024年末までに211億ドル(約2兆7797億円)を超え、約7ヵ月分の輸入をカバーする見込みである。
同報告書によると、金取引による不均衡が引き続き緩和されることを前提として、観光業の継続的な回復で商品輸出が増加し、経常赤字が更に縮小すると予想されている。
同報告書は金融政策が自国通貨の使用を促進し、対ドル為替レートを安定的に維持することを暗黙の目標として、引き続き物価の安定を目指す必要があるとするとともに、カンボジア経済のドル化が2022年末時点で83%と高止まりしていることを指摘した。
同国のインフレ率は2023年1月末時点で前年比3%、主に食料品と輸送、住宅資材の価格に影響を及ぼしている。
カンボジア経済の見通しは、長期的な成長可能性を引き出すために政府がグリーン投資拡大の努力を継続するかどうかにもかかっており、これが政策課題であるという。
また、気候変動が洪水や干ばつの頻度と強度を高め、平均気温の上昇と海面上昇を引き起こし、塩水侵入を悪化させる。
同国は洪水の影響を強く受けており、人道危機と災害に関する2023年のグローバルリスク指数では10点中9.5点、気候変動の対応に柔軟性がある国をまとめたランキングでは182カ国中149 位にランクインしている。
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