カンボジアのクラフトビール、物流等が大きな成長妨げに

カンボジアのクラフトビール、物流等が大きな成長妨げに
2023年05月24日 14時18分 公開
カンボジアのクラフトビール、物流等が大きな成長妨げに

<写真:iStock>

 

カンボジアのクラフトビールメーカーは国内外市場における成長の機会を狙っているが、物流上の課題とサプライチェーンが妨げとなっている。

 

クラフトビールはマイクロブルワリーと呼ばれる小規模な独立醸造所によって醸造されるビールのことであり、カンボジアでは過去10年間にクラフトビールを製造する約20のビールメーカーが国内に設立されたが、その大半が海外からの進出によるものである。

 

各クラフトビールメーカーはカンボジア国内だけではなく、東南アジア市場でも需要が高まっていることを受けて進出したが、パンデミックの影響によって観光客は激減し、クラフトビールも売れなくなり、各社を取り巻く状況は一変した。

 

カンボジア国内での販売が減少する中、各メーカーは周辺諸国市場への輸出という選択肢を模索し始めたが、サプライチェーンにおける物流の不利やその他問題が輸出の足かせになった。

 

プノンペンにあるRiel Brewing and Distillingの共同設立者Andrew Strugnell氏は、メーカーにとって物流の欠点が確実に不利になるとして、当局がメーカーの直面する法律や規制の問題に対処するべきであると指摘する。

 

また、タイは東南アジア地域でクラフトビールの第一の市場と考えられていたが、厳しい法律と規制によって多くのクラフトビールメーカーがベトナムに移転している。

 

タイでは新規参入する事業者が毎年少なくとも1000万リットルのビールを醸造し、1000万バーツ(約4000万円)以上の資金を資本にしなければならないという新しい規則を打ち出しており、クラフトビールメーカーである小規模事業者には非常に難しい条件である。

 

同条件に関する取り締まりによって、タイでは醸造ルール違反を理由に逮捕されたメーカーのオーナーもいる。

 

タイの状況変化はカンボジアにとって大きなチャンスであったが、ベトナムはより良い物流オプションと簡単な登録規則でタイの損失を自国の利益に変えた。現在はベトナムが東南アジア地域のクラフトビール主要輸出国として台頭している。

 

カンボジアの物流部門には多くの弱点があり、最近の世界銀行の報告書によると、同国の物流コストは周辺地域で最も高く、インフォーマルな支払いや高額な輸出手数料が同国の競争力を損なっているという。

 

また、同報告書はスマートな物流ソリューションと効率的なサプライチェーン管理システムが導入されなければ、カンボジア産業部門は成長の障害に直面する可能性があることを警告している。

 

カンボジアのクラフトビール産業には物流とは別に、深刻なスキルギャップが大きな課題である。同国の同産業は海外移住者に依存しており、業界の最終的な利益のためにはカンボジア人が醸造技術を学ばなければならない。

 

しかし、同国のクラフトビール業界は暗いことばかりではなく、地元の熱意と関心に後押しされて国内消費量が増加傾向にある。業界関係者によると、以前と変わって多くのカンボジア人が地元のクラフトビールを嗜むようになってきているという。

 

様々な市場調査やレポートによると、カンボジアのビール市場は主に国内消費の増加に支えられており、2025年には20億ドル(約2772億6900万円)の大台を突破する可能性が高い。

 

また、世界中のビール市場を調査する「Beer Report 2023」では、世界のビール市場は2027年までに年率9%近い成長が見込まれており、カンボジアのビール市場量は2027年までに7億7980万リットルに達するという。

 

2023年の観光客数増加や政府による多くの観光促進策が同国のクラフトビール産業に大きな希望を与え、2年以上続いたパンデミックによる低迷から同産業を新たな高みへと導くことが期待されている。

 

 

 

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