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<写真:Khmer Times>
国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)は、東南アジアにおけるマイクロファイナンス政策が女性の貧困解消に十分に寄与していないとして改革を求めている。
ESCAPは「貯蓄グループやあらゆる形態のマイクロファイナンスは、女性のエンパワーメントを包括的に実現するには不十分であり、女性の主体性に関する社会的規範を変える必要がある」と指摘した。
また、マイクロファイナンスプログラムが顧客の状況や脆弱性を十分に考慮し、リスクを軽減する必要性を強調した。
具体的には、家庭内での財務管理の実態や、ローンの使用や事業運営における意思決定権を持つ人物、さらに特定の家庭や地域社会における女性の自由度を理解することが求められるという。
一部では、女性がローンを借りた場合でも、実際の資金の使途や運営に関与できず、返済責任だけを負うケースも見られる。
ESCAPは女性の多くが雇用機会の不足を背景に、小規模事業を始めざるを得ない「必要に駆られた起業家」であると述べている。
プノンペンでジュースと麺の屋台を経営する女性ナーさん(38)は「顧客がいる日もあれば、いない日もある。けれど毎日市場で材料を買って屋台に立たなければならない」と苦しい現状を語った。
ナーさんの夫ラーさんは隣でバイクの修理をしているが、家計は非常に厳しい。
多くの零細事業者は銀行の基準に合わず代替的な資金調達に頼らざるを得ない。
経営コンサルタント会社ベイン・アンド・カンパニーの推計によれば、東南アジアの成人の70%が銀行口座を持たない、あるいは十分に活用できていない状態にあり、マイクロファイナンスは事業開始や拡大に重要な役割を果たしている。
ESCAPは、マイクロファイナンス機関に対し、性別関係を考慮した融資設計を行うため、ジェンダー専門家や女性借り手を巻き込むこと、貯蓄の推進を含む包括的な金融支援の提供、利率の上限設定、文化的背景に即したジェンダー研修の実施、保育補助などの支援体制の整備、5つの改革を提言した。
国際労働機関(ILO)は貧困層の女性のエンパワーメントにマイクロファイナンスが大きく寄与していると評価しており、同機関の「ディーセント・ワーク(働きがいのある仕事)」アジェンダの中核に位置付けている。
ESCAPの提言は東南アジアにおける女性の経済的自立を支援し、地域社会全体の貧困削減を目指す一環として重要な意味を持つ。
※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。