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<写真:Khmer Times>
タイ警察は元カンボジア野党議員リム・キムヤ氏の暗殺事件に関連し、主犯格とみられるリ・ラタナクラックスメイ容疑者(43)に逮捕状を発行した。
事件はバンコクで1月7日に発生し、政治的背景を含むその衝撃的な内容が大きな波紋を呼んでいる。
73歳のリム・キムヤ氏は、暗殺当日シェムリアップ州からバスでバンコクに到着し、プラナコーン地区で妻と兄の目の前で射殺された。
警察によれば、ラタナクラックスメイ容疑者は、元タイ海軍兵であるエッカラック・ペアノイ容疑者を雇い、犯行を実行させたとされる。
エッカラック容疑者は6万バーツ(約27万1182円)の報酬を条件に犯行を請け負ったが、ターゲットの背景については知らされていなかったと供述している。
タイの「バンコック・ポスト」紙によると、ラタナクラックスメイ容疑者は事件前日の1月6日にタイへ入国し、チョンブリ県バンラムン地区に滞在していた。
翌日の暗殺後、1月8日早朝にタイを出国したとみられる。
捜査では、ラタナクラックスメイ容疑者が過去数年間でタイを100回以上訪問していたことが判明しており、その動向が事件との関連で注目されている。
また、暗殺計画には複数の人物が関与していたことが明らかになっている。
国際刑事警察機構(インターポール)は、暗殺現場で監視役を務めたとされるカンボジア人ピッチ・キムスリン容疑者(24)に対して国際手配書(レッドノーティス)を発行した。
タイ首都圏警察局のサヤム・ブーンサム中将によると、インターポールやカンボジア警察が連携し、容疑者の追跡を進めている。
また、キムスリン容疑者と実行犯であるエッカラック容疑者が事件前後に頻繁に通信していたことが判明しており、事件の計画的実行に深く関わっていたとみられる。
一方で、カンボジア警察の報道官チャイ・キムクエン中将は、タイ当局からの正式な捜査協力要請はまだ届いていないと述べている。
エッカラック容疑者は1月8日にカンボジア・バッタンバン州で逮捕され、その後1月15日にバンコクへ送還され拘束された。
現在、バンコク拘置所に収監されており、警察は金銭の流れや関係者の背後関係を含めたさらなる捜査を進めている。
さらに、エッカラック容疑者の逃亡を支援した疑いで、47歳のタイ人チャクリット・ブアクリ容疑者が1月9日にチョンブリ県で逮捕された。
今回の暗殺事件をめぐり、カンボジアの海外野党指導者サム・ランシー氏は、キムヤ氏の暗殺にカンボジア政府が関与していると非難した。
しかし、カンボジア政府および与党であるカンボジア人民党はこれを強く否定し、ランシー氏の発言を「政府の信用を傷つける意図的な行為」として非難している。
一方で、タイ警察は事件の背後にある動機や政治的背景を含む全容解明に向け、国際的な協力を拡大している。
ラタナクラックスメイ容疑者やキムスリン容疑者の行方を追うとともに、事件の背後に存在する可能性のある組織的関与についても捜査が進められているという。
タイ警察は、未解明の点を明らかにするため捜査を継続し、国際的な協力を通じて容疑者の逮捕を目指している。
この暗殺事件は、カンボジアの政情不安やタイ国内での犯罪活動が複雑に絡み合った象徴的な事例といえる。
事件の進展次第では、地域の政治情勢や国際的な法執行の在り方にも影響を与える可能性がある。
※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。