中間年人口調査を公表、カンボジアの教育・雇用課題

中間年人口調査を公表、カンボジアの教育・雇用課題
2025年04月14日(月)00時00分 公開
中間年人口調査を公表、カンボジアの教育・雇用課題

<写真:Khmer Times>

 

カンボジア計画省は先週、カンボジア中間年人口調査(CIPS)の最終結果を公表した。本調査は国民の識字率、教育水準、雇用状況などに関する詳細な統計を明らかにするものであり、今後の国家政策の立案に向けた重要な資料として位置づけられている。

 

特に第4章「識字と教育」、第5章「労働と雇用」に焦点を当てた今回の報告書は、一定の教育水準の向上を示しつつも、依然として顕著な課題を多く浮き彫りにしている。

 

2024年時点における7歳以上のクメール語識字率は85.6%に達し、2019年の80.4%から改善が見られた。しかし、男女間の格差は依然として残されている。男性の識字率が88.7%であるのに対し、女性は82.6%にとどまり、とりわけ農村部ではこの差が顕著である。

 

女性の教育水準の低さは、良質な雇用へのアクセスや、次世代への教育支援の機会を制限する要因となっており、貧困削減やジェンダー平等の達成に向けては、識字率の格差解消が急務とされる。

 

教育制度の継続性にも深刻な課題がある。15〜17歳の青少年における在学率は62.5%にとどまり、18〜24歳ではわずか22.1%にまで低下している。とりわけ農村部では、経済的要因や労働への早期参加が原因で多くの若者が中等教育を修了せずに離学しており、これが技能不足と低賃金雇用の連鎖を招いている。このような状況は、世代を超えた貧困の温床となりつつある。

 

また、産業と人材の間における技能の不一致も大きな課題として挙げられる。職業訓練(レベル3)を修了した者は約2万9250人に上るが、企業の実際のニーズに即した人材供給は依然として不十分である。

 

とりわけデジタルサービス、製造業、観光業といった成長産業では、即戦力となる実務能力を備えた人材の確保が困難であり、このような技能の不一致が経済発展の障害となっている。

 

加えて、都市と農村の間における英語能力の格差も顕在化している。英語識字率は2019年の5.1%から2024年には11.7%へと上昇したが、その多くは都市部に集中しており、農村部では依然として英語教育の普及が遅れている。このため、グローバル産業における就労機会へのアクセスが農村の若者にとって制限されている。

 

さらに、ICT機器やインターネットへのアクセスに関する地域格差も深刻である。農村部の学生にとっては、ICT教育を受ける機会が極めて限定的であり、これが現代経済への適応を困難にしている。教育と雇用の両面において、デジタル格差が新たな障壁となっている。

 

本報告書に基づく政策提言としては、以下の施策が求められている。第一に、女子教育への重点的な投資が必要である。第二に、貧困家庭に対する学費支援制度の拡充が不可欠である。第三に、職業訓練と市場ニーズとの連携を強化し、実務能力の育成に注力する必要がある。第四に、農村部における英語教育の質的向上を図ることが重要である。第五に、ICTインフラの整備を通じて教育機会の均等化を推進すべきである。

 

今回のCIPSが提示した課題と可能性は、持続可能な開発を実現する上での重要な転換点となる。今後、データに基づいた政策形成が着実に進められれば、経済成長と社会的包摂を両立した持続可能な未来が期待できる。

 

 

 

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