おすすめのプロモーション

<写真:khmertimeskh.com>
カンボジア経済財政省は、2025年における同国の工業部門の成長率が7.1%に達するとの見通しを発表した。これは従来予測の8.6%を下回る水準であり、縫製品および非縫製品の輸出鈍化が主な要因とされている。一方、自動車組立や食品・飲料産業、建設業など、内需主導型の産業は堅調な回復傾向を維持している。
縫製産業は引き続き工業部門の中核を占め、2025年には10.1%の成長が見込まれている。2025年上半期は対米輸出の前倒しにより好調であったが、8月以降に本格適用された報復関税の影響で、新規受注の減速が懸念されている。関税率は名目36%、実質19%に引き上げられ、企業活動への負担が拡大している。
非縫製分野においては、電子部品が24.3%増、家具が39.4%増、自動車部品が10.1%増と堅調な伸びを示している一方、米国向けの太陽光パネル輸出は関税引き上げの影響を受け、98.9%減と大幅な落ち込みを記録した。また、タイ国境の緊張により原材料の供給が滞っており、地政学的リスクが工業成長の足かせとなっている。
国内市場に目を向けると、内需主導の産業は比較的安定しており、自動車組立や食品・飲料産業は引き続き堅調に推移している。2025年上半期の付加価値税収は前年同期比で3.6%増加しており、国内消費の底堅さを反映している。
建設分野においては、商業施設建設が低調な一方で、中価格帯の住宅、工場、倉庫といった分野での需要は堅調であり、建設部門全体では2.4%の成長が見込まれている。建材の輸入は46.2%増加し、国内のセメント生産も16%増加した。
カンボジア中国商会(CCCA)は、輸出市場の多様化と行政手続きの簡素化を政府に要請している。同商会のロル・ビチェット副会長は、「輸出依存体質からの脱却が急務である」と述べ、現在対米輸出が全体の約40%を占めている現状に対して懸念を示した。
なお、2024年時点で稼働中の大規模工場は2425件に達し、そのうち326件が新たに設立された。また、特別経済区(SEZ)は前年から4カ所増加し、計30カ所に拡大している。工業分野への投資総額は200億ドルを超え、そのうち約19%が国内からの投資であった。
政府は中期財政枠組みにおいて、輸出市場の多様化と国内産業の強化を成長戦略の柱に据えており、今後の経済安定と持続的成長を目指している。
※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。