カンボジアで投資環境の整備進む、製造業・サービスで地域拠点化へ

カンボジアで投資環境の整備進む、製造業・サービスで地域拠点化へ
2025年10月01日(水)00時00分 公開
カンボジアで投資環境の整備進む、製造業・サービスで地域拠点化へ

<写真:khmertimeskh.com>

 

カンボジアが東南アジアにおける有望な投資先として存在感を高めている。米国務省が発表した「2025年版投資環境報告書」によれば、2024年の国内総生産(GDP)は5.3%増を記録し、2025年には5.5%の成長が見込まれている。観光業の回復や外資導入の拡大が主な成長要因であり、インフレ率も2.6%と安定を維持している。

 

2021年に施行された新投資法の下、外資による完全所有が幅広い分野で認められており、法人税や設備輸入に対する関税の免除、利益送金の自由といった各種優遇措置が整備されている。政府は民間との対話も強化しており、米国との官民対話を年2回開催するなど、投資環境の透明性と予見可能性の向上に取り組んでいる。

 

特別経済区(SEZ)は輸出主導型経済成長の中核を担っており、現在は9州で32カ所が稼働中である。シアヌークビルでは中国資本の投資が目立つ一方、日本も港湾近郊にSEZを設置するなど、多国籍企業による進出が加速している。

 

対外貿易においては自由貿易協定(FTA)の拡大が進み、中国、韓国、UAE、RCEPとの協定がすでに発効しており、ユーラシア経済連合との交渉も検討されている。こうした動きは輸出市場の多様化と経済基盤の安定化に寄与している。

 

金融分野では、中央銀行主導のデジタル決済基盤「Bakong」が注目を集めており、銀行口座を持たない層への金融アクセス拡大を推進している。2024年末時点での銀行資産総額は911億ドルに達し、国内金融の底上げが進んでいる。

 

技術革新への対応としては、2025年1月に特許・意匠のオンライン出願制度が導入され、知的財産権保護の近代化が進められている。また、国連の支援を受けて策定中のAI国家戦略が2025年5月に完成予定であり、今後の先端分野への対応力強化が期待されている。

 

企業登録の手続きもオンライン化が進められ、20営業日以内に投資認定が得られる仕組みが整っている。対米ビジネスの促進を目的として、カンボジア商工会議所は米カリフォルニア州に代表事務所を設置した。

 

2023年2月にはマネーロンダリング対策の強化が評価され、金融活動作業部会(FATF)の「グレーリスト」から除外された。法執行や汚職対策においては依然として課題が残るが、投資環境は着実に改善している。

 

米国商工会議所カンボジア支部の副会頭であるアンソニー・ガリアーノ氏は、米国投資家の関心の高まりについて、「カンボジアはもはや辺境市場ではなく、ASEANの成長株として見られている」と述べた。注目分野は低技能製造、繊維産業、農業、再生可能エネルギー、教育など多岐にわたる。

 

一方で、半導体やデジタルサービスといった先端分野においては制度整備や人材育成が追いついておらず、今後の課題として指摘されている。また、デジタル経済の発展には金融・資本市場の成熟が前提条件となる。

 

カンボジアは現在、制度改革と国際連携の強化を通じて、製造業・サービス業の地域拠点としての地位を確立しつつある。持続的な成長に向けては、引き続き制度改革を進めるとともに、高度人材の育成が重要な鍵となる。

 

 

 

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