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<写真:khmertimeskh.com>
カンボジアとタイの陸路国境が封鎖された影響で、日系企業の物流コストが「ほぼ3倍」に跳ね上がっている。
これまで陸路トラック輸送で約2日を要していた貨物輸送は、現在では海運ルートを使用せざるを得ず、輸送期間が最長で10日にまで延びるケースも発生している。
この事態により、日系企業はサプライチェーンの抜本的な見直しを迫られている。
日本企業はこれまで、労働力コストの低さや地理的利点を活かした「タイ+ワン」戦略を採用してきた。
特に自動車部品産業においては、タイで生産した部材をカンボジアの工場で組み立て、完成品を再びタイに戻して日系自動車メーカーに供給するというサプライチェーンが広く構築されていた。
しかし、今回の国境封鎖によりこの物流ルートは完全に遮断され、企業は空輸や海運といった代替手段に切り替えざるを得なくなった。
空輸は緊急対応策として採用されたが、輸送コストが急増したため、現在ではカンボジアのシアヌークビル港を経由する海運が主流となっている。
ヤザキ社の関係者は「タイとは目と鼻の先にあるにもかかわらず、大幅な迂回を強いられている」と現状の非効率さを嘆いている。
ロジスティクス会社JMGの代表は、今回の封鎖措置により、物流コストはおおむね2倍から3倍に膨らんだ」と述べた上で、在庫の滞留が進むことでキャッシュフローにも深刻な影響が出ていると指摘する。
特に資金繰りに余裕のない中小企業にとっては、経営継続の可否に直結する事態となっており、既に一部の中規模企業ではカンボジアからの撤退を検討する動きも報じられている。
日本政府はカンボジアとタイの両政府に対して、国境の早期再開を要請しているが、現地の情勢はむしろ悪化の兆しを見せている。
タイ側では停戦違反が相次ぎ、国境協議は停滞状態にある。
日本の在カンボジア大使も、国境封鎖の長期化が物流コストの急増と納期遅延を引き起こし、カンボジアの投資先としての魅力を大きく損なう可能性があると警告している。
安全保障と経済利益が複雑に交錯する状況の中、タイ・カンボジア両国間の関係修復と国境再開には、慎重かつ持続的な外交努力が求められている。
※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。