トゥール・スレン虐殺博物館、訪問者に服装規定を導入

トゥール・スレン虐殺博物館、訪問者に服装規定を導入
2025年03月20日(木)00時00分 公開
トゥール・スレン虐殺博物館、訪問者に服装規定を導入

<写真:Khmer Times>

 

カンボジアの首都プノンペンに所在するトゥール・スレン虐殺博物館は、訪問者に対して新たな服装規定を導入した。

 

これは命を奪われた犠牲者への敬意を示すことを目的としており、露出度の高い服装を禁止するものである。

 

同博物館はかつてのS-21収容所として知られ、クメール・ルージュ政権による深刻な人権侵害の象徴とされる施設である。

 

今回の措置にあたり、博物館側はツアーガイド、旅行会社、観光業者に対し、訪問者が定められたガイドラインに則った適切な服装を着用するよう周知・助言するように求めている。

 

新たな服装規定では肩を覆い腹部が見えない上着と、膝下まで丈のあるズボンまたはスカートの着用が求められる。

 

ノースリーブシャツ、クロップトップ、身体に密着する衣類などは入館を認められないとされている。

 

ハン・ニセイ館長は「この博物館は、過去に起きた残虐行為の犠牲者を追悼する場であり、訪問者にはその場にふさわしい慎みある服装が求められる」と述べた。

 

また、観光ツアーやホテル経由で訪れる旅行者の多くは、すでに適切な服装をしている傾向にあり、特に高齢者は若年層よりも節度を持った服装で訪れていると指摘した。

 

加えて、館内ではドローンなどの飛行物の使用、展示物への接触、自撮り行為なども禁止されている。

 

これらの規定もまた、犠牲者への敬意と歴史的遺産の保護という観点から設けられている。

 

トゥール・スレン虐殺博物館は、かつての学校施設を転用して設立され、拷問や尋問が日常的に行われていたS-21収容所の記憶を後世に伝える重要な場所である。

 

施設内の歴史的構造は現在も保存されており、周囲には建設制限区域が設けられている。

 

過去の調査によれば、S-21には延べ1万8,063人の男女および子どもが収容されたと推定されている。

 

新型コロナウイルス流行前には、年間およそ40万人の国内外観光客が訪れていたが、パンデミックの影響で来館者数は一時減少し、昨年は約30万人にとどまった。

 

今回の服装規定導入は訪問者がより深く歴史と向き合い、敬意をもってその場に臨むことを促す取り組みとして注目されている。

 

 

 

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