カンボジア・タイ国境問題、ASEANに仲介役求める声

カンボジア・タイ国境問題、ASEANに仲介役求める声
2025年07月22日(火)00時00分 公開
カンボジア・タイ国境問題、ASEANに仲介役求める声

<写真:Khmer Times>

 

カンボジアとタイの国境を巡る緊張が再び高まる中、カンボジアの外交専門家らは、ASEAN(東南アジア諸国連合)に対し、紛争地域の非武装化および積極的な仲介を求める声を強めている。

 

カンボジア地域研究センター(CCRS)とドイツのコンラート・アデナウアー財団が主催したセミナーにおいて、CCRS上級顧問のポウ・ソティラック氏は「カンボジアとタイの衝突は東南アジア全体に影響を及ぼす」と述べ、ASEANによる迅速な介入の必要性を訴えた。

 

同氏はカンボジアが国際司法裁判所(ICJ)による法的解決を志向している一方で、タイは両国の共同境界委員会(JBC)による二国間協議を優先し、独自に作成した地図を根拠としていることを指摘した。

 

この立場の違いにより、交渉は膠着状態にあると分析している。

 

ASEANの仲裁能力についてソティラック氏は「強制力を欠き、同調圧力以上の手段を持たない」と述べ、その限界を認めたが、議長国マレーシアのアンワル首相が調停に意欲を示している点については、一定の期待を寄せている。

 

さらに同氏は、日中仏などの「友好国グループ」による中立的な仲介の可能性にも言及したが、その前提として、カンボジアとタイ双方の相互信頼が不可欠であると強調した。

 

5月28日に発生したタ・モアン・トム遺跡周辺でのタイ元准軍人とカンボジア兵士との衝突は、こうした緊張の象徴的な事例であり、偶発的衝突の危険性が改めて浮き彫りとなっている。

 

CCRSのヒム・ラクスメイ事務局長は開会挨拶において「歴史的対立とナショナリズムが地域の平和とASEANの信頼性に悪影響を及ぼしている」と警鐘を鳴らした。

 

国境問題の早期かつ平和的な解決に向けては、ASEANの積極的な関与と、第三国を含めた信頼構築の枠組みの構築が急務である。

 

 

 

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