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<写真:khmertimeskh.com>
タイにおいてアヌティン・チャーンウィーラクン氏が新たに首相に就任したことを受け、カンボジアのフン・マネット首相は両国関係の正常化および信頼回復に向けた協力を呼びかけている。
しかし、専門家の間では、タイ国内の政治的不安定やナショナリズムの影響により、両国間の国境問題を平和的に解決することは依然として困難であるとの見方が強まっている。
アヌティン氏は下院で過半数を超える247票を獲得し、第32代首相に選出された。
前政権は、憲法裁判所の判決によって失職したペートーンターン・チナワット氏の下で運営されていたが、今回の選出により新政権が発足することとなった。
なお、アヌティン氏は6月、カンボジアのフン・セン上院議長との電話会談が流出したことに反発し、連立政権から一時的に離脱していた経緯がある。
フン・マネット首相は祝意を伝える公式書簡の中で、両国が地理的・歴史的・文化的に深い関係を有している点に言及し、「国境地帯を平和、協力、開発、共栄の場に転換するため、より深い連携を望む」と述べた。
しかし、カンボジア国際関係研究所のキン・ピア所長は、アヌティン政権が短命に終わる可能性が高いことから、「歴史的かつ政治的に複雑な国境問題の根本的解決には時間的余裕が乏しい」と指摘する。
また、タイ国内には依然として軍部や保守派の強い影響力が残っており、これらの勢力は外交的対話よりも強硬手段を重視する傾向があるとの見解を示している。
加えて、タイ社会にはカンボジアに対する領土的野心が根強く存在しており、国民世論も妥協に対して否定的であるとの指摘もある。
一方、カンボジア王立プノンペン大学のニアック・チャンダリス准教授は、チナワット一族が政界から一時的に退いたとしても、その財力と政治的ネットワークを活用し、対カンボジアに対する工作を継続する可能性があると警告する。
特に、ポイペト=アランヤプラテート国境における経済的圧力や、与党・人民党(CPP)に対する分断工作などが懸念されている。
同准教授は、カンボジアはタイの不確実性に対し、法的手段、国際世論、外交的バランスを通じて自国の主権を守るべきであると主張し、国際司法裁判所(ICJ)による国境線の明確化や、ASEANとの連携強化を提案している。
アヌティン政権の発足により、両国間の対話再開に向けた機運は高まっているが、根深い歴史的対立やタイ国内の政治構造が、その実現に向けた大きな障壁となっている。
真の安定と協力関係を築くためには、両国ともに政治的・社会的な意識の転換と、国際法に対する尊重を不可欠の要素として位置づける必要がある。
※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。