テチョ国際空港が開港、航空・経済の新拠点に

テチョ国際空港が開港、航空・経済の新拠点に
2025年09月10日(水)00時00分 公開
テチョ国際空港が開港、航空・経済の新拠点に

<写真:khmertimeskh.com>

 

カンボジアの首都プノンペン南方約20kmに位置するテチョ国際空港が、2025年9月9日に正式開港した。総事業費15億ドルを投じて建設された同空港は、カンボジア航空業界最大規模のインフラ整備事業であり、国際競争力の向上を図る戦略拠点として注目されている。なお、正式な開港式典は同年10月20日に予定されている。

 

テチョ国際空港は、既存のプノンペン国際空港に代わる新空港として建設された。敷地面積は2600haに及び、カンダル州プレック・スレーン地区およびタケオ州バティ地区にまたがっている。開発はカンボジア民間航空事務局と、国内有力財閥OCICによる合弁企業が担った。

 

同空港は、国際民間航空機関(ICAO)の分類における「4F」等級に準拠し、エアバスA380-800やボーイング747-800などの大型機の離着陸が可能である。世界の4F等級空港の中では第9位にランクされており、設計および施設規模の面でも世界第11位に位置づけられている。

 

空港整備は三段階に分けて進められており、第1期として、年間旅客処理能力1500万人を想定した施設群と、全長4kmの滑走路が年内に完成予定である。2030年には第2滑走路を新設し、処理能力を3000万人に拡張。さらに2050年には、最終的に年間4500万人規模の利用を見込む。

 

テチョ国際空港の開港により、貿易、投資、観光といった主要経済分野において波及効果が期待されている。カンボジア王立アカデミーの経済研究者ホン・ヴァナック氏は「本空港が国際的な航空ハブとなることで、航空便数の増加を通じて大手航空会社の関心を引き付け、周辺地域の商業活動も活発化する」との見解を示している。

 

既に空港へ通じる「サムデック・テチョ・フン・セン大通り(通称60m道路)」沿いでは、高層ビルや商業施設の建設が進み、空港近隣には経済特区の整備も計画されている。これにより、中長期的には広域的な商業圏の形成が期待される。

 

観光業界もこの新空港を「近代化の象徴」として歓迎しており、旅行業協会会長のチャイ・シブリン氏は「国際的な関心が高まり、観光業の競争力強化にも資する」と述べた。また、従来の空港では受け入れが困難であった大型貨物機の運航も可能となり、物流分野における国際競争力の向上も見込まれている。

 

一方、9月8日深夜をもってプノンペン国際空港は閉鎖された。旧空港の跡地(約400ha)は国有資産として維持され、将来的にはインフラ整備など長期的な経済開発への活用が計画されている。

 

テチョ国際空港は、単なる航空交通の拠点にとどまらず、カンボジア全体の経済成長を牽引する中核インフラとしての役割を担っていくことが期待されている。

 

 

 

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