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<写真:khmertimeskh.com>
カンボジア北西部バンテイメンチェイ州のチョウクチェイ村およびプレイチャン村において、タイ軍が現地住民に対して強制立ち退きを通告し、両国間の国境をめぐる緊張が一層高まっている。これを受け、カンボジア政府は「敵対行為の激化」を懸念し、国連に対して緊急介入を要請した。
問題の地域には、数十年前からカンボジア人住民が定住しており、農業を営んできた歴史がある。しかし、タイ側はこれを領土侵犯とみなし、10月10日までに家屋を撤去しなければ、即時逮捕・訴追・国外退去の措置を取ると通告している。9月には同地域での衝突により、僧侶や兵士を含むカンボジア人30人が負傷する事態となった。
タイ軍は、10月10日に地雷処理を名目として両村への進入を計画しているが、カンボジア側の住民はこれを「領土拡張の口実」として強く警戒している。カンボジア当局は、村内に未処理の不発弾は存在せず、地雷処理は自国の責任範囲内で完結すべきであるとの立場を明確にしている。
バンテイメンチェイ州のウン・リートレイ知事は、該当地域が2000年の国境合意以前からカンボジア人によって居住・耕作されてきたと主張し、立ち退きによる住民の避難や生活への深刻な影響を指摘した。その上で、両国間で国境線の画定が未了である以上、現状維持の原則を遵守すべきであると訴えている。
これに対して、タイ陸軍第1軍管区は声明を発表し、「自国の主権が侵害された場合には断固として対応する」と表明した。すでにバラパ任務部隊などが現地での行動準備を進めており、緊張はさらに高まっている。
こうした状況を受け、カンボジア人権委員会(CHRC)は同日、国連人権理事会のバラクリシュナン・ラジャゴパール特別報告者宛に書簡を送付し、タイ軍の行動が国際法および基本的人権に反していると主張した。CHRCは、家屋や農地への立ち入り妨害や強制立ち退きの脅迫が継続しているとし、住民の生活および文化的基盤が脅かされていると警鐘を鳴らしている。
同委員会はすでに8月15日に国連に対して最初の訴えを行っているが、これまでに具体的な返答は得られていない。CHRCのケオ・レミー議長は「国連人権機構への信頼を維持するためには、即時かつ中立的な対応が不可欠である」と強調している。
なお、両国は9月10日に開催された国境合同委員会の特別会合において、地雷除去に関する標準手順書(SOP)の策定に合意しているが、現地では依然として緊張状態が続いており、予断を許さない状況にある。
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