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<写真:khmertimeskh.com>
2025年10月26日、カンボジアとタイは「クアラルンプール和平合意(Kuala Lumpur Peace Accord)」を締結し、重火器の撤収、停戦監視、地雷除去といった包括的な措置に合意した。
しかし、その和平は長く続かなかった。12月初旬、タイ側がカンボジア国境付近で空爆を実施し、カンボジア側はこれを「先制攻撃」と非難した。
和平合意の崩壊を宣言し、国境地帯では再び軍事衝突が発生した。双方に死者・負傷者が出ており、数万人の民間人が避難を強いられるなど、情勢は深刻さを増している。
こうした緊迫の中、カンボジアの前首相であり現上院議長のフン・セン氏が、すべての通常業務を停止し、現首相のフン・マネット氏とともに軍の前線に立つと表明した。
フン・セン氏は指揮官たちに対して「忍耐」を求めつつ、「レッドラインを越えれば反撃する」と警告を発し、現地部隊や住民の避難支援を指示した。
さらに、同日に開幕した2025年の東南アジア競技大会(SEA Games)にはカンボジア代表を派遣する方針を明らかにし、国際的な混乱の拡大を抑えようとする姿勢も見せた。
フン・セン氏は2023年に首相職を息子のフン・マネット氏に譲り、政権の第一線から退いたとされてきたが、今回の軍事危機において「国の守護者」として再び前面に立つことで、その影響力の健在ぶりを印象づけている。
この動きは、軍および治安機関の結束を促すと同時に、国内のナショナリズムを強化する可能性がある。一方で、和平を重視する国際社会にとっては懸念材料ともなり得る。
さらに注目すべきは、軍統率の実権が誰にあるのかという点である。フン・セン氏か、あるいはフン・マネット氏か、それとも父子による共同体制か。
今後の政治的力学に影響を与える要素となる。
今後の焦点は、戦闘の拡大可能性、国境地帯の民間人保護、避難体制の強化、そして国際社会、特にASEANや国連による仲裁と関与の再構築にある。
また、フン・セン氏の「軍と政治の両輪」の掌握が一時的なものか、それとも継続的な再台頭を意味するのかも、カンボジア国内外で注視されている。
今回のフン・セン氏の動きは、単なる軍事的な前線復帰にとどまらず、カンボジアにおける政治的影響力と国際的立場の再演出とも言える。情勢のさらなる展開が注目される。
※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。