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<写真:khmertimeskh.com>
タイ政府は12月7日よりカンボジアとの国境地帯において大規模な軍事攻撃を開始し、空爆・重砲射撃・地上侵攻を含む作戦を継続している。攻撃はプレアヴィヒアからウドーミアンチェイ、バンテイメンチェイ、バッタンバン、プルサット、ココンに至る約800kmに及ぶ国境地帯で激化し、民間人の死傷者や大量の避難民が発生している。
関係当局によれば、これまでに乳児を含む民間人9人が死亡、46人が負傷した。戦闘が激しさを増す軍事地域第4・第5管区においては、12万7000人以上が避難を余儀なくされており、被災者は国境地帯のウドーミアンチェイ、プレアヴィヒア、バンテイメンチェイを中心に、内陸部のシェムリアップなどにも避難が広がっている。
カンボジア政府は、今回のタイ軍による攻撃を「フランス植民地時代に不当に分断された領土を取り戻す試み」と非難し、自衛権に基づき応戦していると主張する。前線ではウドーミアンチェイ州サムラオン市や、バンテイメンチェイ州のオー・バイチョアンが繰り返し砲爆撃を受け、ボンチャコンやトマールダーなどの国境検問所も甚大な被害を受けた。
カンボジア外務省のエート・ソピーア常務次官は、12月7日の攻撃に至る経緯として、11月10日の地雷事故、国境越境行為の頻発、そしてタイ側がクアラルンプール共同宣言(10月26日)を履行せず、新たな根拠のない非難を繰り返したことを挙げた。カンボジア側は、タイ軍が戦車・装甲車・戦闘機を用いて民間地域やインフラ施設、文化財などを攻撃し、大きな被害を与えたと指摘する。
これに対し、カンボジアのフン・セン上院議長はソーシャルメディアを通じて国民に前線部隊および避難民への支援を呼びかけ、物資の寄付が重要な役割を果たしていると訴えた。政府は現在、国際刑事裁判所(ICC)への提訴準備を進めており、主権と領土の侵害、ならびに大規模な民間人被害を理由に、攻撃の証拠を提出する意向を示している。
両軍の損害について、カンボジア側はタイ軍に大きな損耗があると主張する一方、タイ側の発表を「心理戦」と批判している。また、カンボジアは一貫して自国が侵攻を行っていないと強調している。
国際社会からも反応が出ており、アメリカのドナルド・トランプ大統領は両国首脳と電話協議を行い、戦闘停止を促す姿勢を示した。マレーシアのアンワル・イブラヒム首相も協議を行い、国際法に基づいた平和的解決と地域の安定確保への支持を表明した。
戦闘地域では仏教寺院や公共施設が避難民キャンプとして利用されているが、物資不足が深刻であり、多くの避難民が支援を求めている。避難者の1人は「空爆と砲撃の恐怖で、何も持たずに逃げ出した」と語り、混乱の中での避難状況を明かした。
さらに、プリア・ヴィヒア寺院など世界遺産に登録された複数の文化財にも被害が及んでおり、カンボジア文化省は国際社会に対し、タイ軍の軍事行動を非難するとともに、文化遺産の破壊がもたらす深刻な影響を訴えている。
カンボジア政府は今後も国際社会による支援と調停の働きかけを求めていく方針である。
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