和平協議開始を目前に、強まるタイの軍事圧力

和平協議開始を目前に、強まるタイの軍事圧力
2025年12月26日(金)00時00分 公開
和平協議開始を目前に、強まるタイの軍事圧力

<写真:khmertimeskh.com>

 

タイはカンボジアとの和平協議開始を目前に控える中で軍事行動を大幅に強化した。

 

両国軍高官が国境問題を協議する一般国境委員会(GBC)事務局会合を開く数時間前、タイ空軍はカンボジア領内深くまで空爆と砲撃を実施した。

 

カンボジア政府は、交渉を有利に進めるための威圧行為であり、国際法に反するものであるとして強く非難している。

 

カンボジア国防省によれば、タイ空軍は韓国製T-50TH練習戦闘機に加え、米国製F-16戦闘機、スウェーデン製グリペン戦闘機を投入し、バッタンバン州やシエムレアプ州など複数の地域を攻撃したという。

 

この攻撃により学校の閉鎖や大規模な住民避難が発生し、7日以降の累計で60万人を超える人々が住居を追われた。

 

一方、GBC事務局会合は予定通り、カンボジアのパイリン州とタイ国境付近で開催された。

 

カンボジア側代表はネム・ボラデン少将、タイ側代表はヌッタポン・プラオケーウ大将が務め、ASEAN監視団の立ち会いのもと、12月27日に予定される特別GBC会合に向けた文書協議が行われた。

 

カンボジア国防省は、停戦と地域の安定回復に向けて協議を継続する意思を強調している。

 

内務省は、国境沿いの7州において住宅や学校、医療施設、寺院など民間インフラへの被害が拡大していると発表した。

 

特にバンテアイメンチェイ州やプレアビヒア州では砲撃や無人機攻撃が続き、子どもを含む住民の生活に深刻な影響が及んでいる。

 

カンボジア人権委員会(CHRC)は声明を発表し、タイ軍による空爆やクラスター弾使用は国際人道法に違反し、戦争犯罪や人道に対する罪に該当する可能性があると指摘した。

 

国連人権高等弁務官事務所などに対し、緊急の申し立てを行う方針も示している。

 

カンボジア政府は、国境紛争は国際法および東南アジア友好協力条約に基づき、平和的に解決されるべきであるとの立場を改めて表明した。

 

上院議長のフン・セン氏や首相のフン・マネット氏の下で、国防戦略に対する国内支持が強まっていることも強調している。

 

地域情勢の緊張が続く中、ASEANに加え、米国や中国など国際社会の関与が、事態沈静化の鍵を握るとみられている。

 

 

 

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