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<写真:Khmer Times>
フンセン首相によると、カンボジアでは近い将来に欧州連合(EU)による特恵関税制度(EBA:Everything But Arms)の完全撤廃が予想されているが、同国の製造業に影響はないという。
4日に同首相はコンポンスプー州で行われた労働者1万6000人以上との会談に参加した際、同国が2026年または2027年に高中所得国として昇格すればEBAの恩恵を失うことを指摘した。
カンボジアが後発開発途上国(LDC)から脱却して高中所得国入りを果たせば、輸出時の関税支払いが必要になる。
EBAはEUの一般特恵関税制度(GSP)に基づく特恵貿易取り決めの1つであり、国連がLDCsと認定した国々に対して、武器・弾薬を除く全製品をEU市場に完全な無税・無枠でアクセスすることを認めている。
EUは2020年にカンボジアが政治的・人権的な条件を満たしていないとして、EU加盟27カ国に輸入される商品10億ドル相当(約1390億円)の20%または5分の1に対する特恵関税を撤廃したが、フンセン首相は国家主権を援助やGSPと交換することはないとの立場を繰り返した。
同首相は「今後はEUへの製品輸出に関税が掛かるため、利益が減少する。カンボジアはより強くなる必要がある」と労働者に語った。
在カンボジア欧州商工会議所(EuroCham)とカンボジア繊維・アパレル・履物・旅行用品協会(TAFTAC)が昨年12月に共同で発表した「GFT(Garment Footwear and Travel)商品概要」によると、EBAの一部撤退によってEUのカンボジア旅行用品(TG)製品輸入が減少している。
一部撤退の影響によってEUのTG輸入は2019年の12%から2021年には6%に減少した。
しかし、カンボジア税関総署(GDCE)が発表した2022年の貿易データによると、同国のGFT商品輸出は前年比約15%増の126億3000万ドル(約1兆7600億円)となり、EU向け輸出の減少を他国向け輸出の増加で補っていることが明らかになった。
2022年もGFT部門が同国最大の輸出稼ぎ手であり、輸出総額の56.2%を占めていたが、2023年1月〜4月には前年同期比24.63%減の31億ドル(約4320億円)と急減している。
2023年1月の輸出額は前年同月比で28%減、2月は24.54%減、3月は14.60%減、4月は30.42%減となり、4月に最大の減少を示した。
業界の専門家によると、前シーズンに欧米の小売店で余剰在庫や売れ残りが発生し、需要が減少したため、輸出が減少したという。
カンボジアの繊維・アパレル・履物・旅行用品協会(TAFTAC)のKen Loo事務局長の予想では、ロシア・ウクライナ紛争とインフレ圧力によって輸出減少は今年いっぱい継続する。
カンボジア王立アカデミー中国研究所のKy Sereyvath所長も同様の意見で「ロシア・ウクライナ紛争継続による経済危機の影響が世界の需要に大きな打撃を与え、その影響はカンボジアのGFT商品輸出にも及ぶ」と述べている。
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