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〈写真:Khmer times〉
カンボジア政府は国内外で深刻化するオンライン詐欺問題に対応するため、高官レベルの新たな委員会を設立する方針を発表した。この委員会は省庁間の協力を基盤に、詐欺や関連犯罪への政策立案と実行を統括する役割を担う見込みである。
この決定は1月25日に開催されたカンボジア人民党(CPP)の第45回中央委員会会議でフン・マネット首相によって公表された。同会議には中央委員会のメンバーや立法・行政部門の高官を含む3555人が出席している。
首相は「オンライン詐欺およびそれに関連する人身売買問題に対処するため、特別な機関の設立が必要である。この新機関は国の名誉を回復し、安全な環境を整備する上で重要な役割を果たす」と述べた。
内務省のチョウ・ブンエン国務長官であり国家人身売買対策委員会(NCCT)の副委員長も務める同氏によれば、この委員会は省庁間の連携体制を基盤に運営される予定であるが、正式名称や責任者についてはまだ決定されていない。
関係者の話によれば、首相がこの委員会の長を務める可能性が高いと見られている。
ブンエン氏はこの新たな取り組みを歓迎し「政府と首相がオンライン詐欺対策に真剣に取り組んでいることの表れである」と評価した。また、この委員会がカンボジアの名誉を回復する上で重要な役割を果たすことを強調した。
今回の発表は地域的な犯罪対策が強化される中で行われた。先週、メコン川流域諸国の協力組織である「ランチャー・メコン統合法執行安全協力センター(LMLECC)」が新たな作戦「シーガルII」を始動した。
この作戦はオンライン詐欺や人身売買といった国際犯罪の摘発を目的とし、特に失踪者や被害者の救出に重点を置いている。
前回の「シーガル」作戦ではカンボジア、中国、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナムの法執行機関が協力し、160件以上の犯罪を摘発した。7万人以上の容疑者を逮捕し、160人以上の被害者を救出する成果を上げた。
しかし、カンボジアは近年、人身売買やオンライン詐欺の「温床」として国際的な批判を受けている。特に2022年、米国国務省の人身売買報告書で最低ランクの「Tier3」に格下げされたことはその象徴的な例である。
この格下げにより、カンボジアが人身売買対策において最低基準を満たしていないと見なされ、米国からの制裁リスクが指摘された。
さらに、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)の2023年の報告では、カンボジア国内で約10万人がオンライン詐欺に関連した強制労働に従事させられている可能性があると警告されている。
しかし、カンボジア政府とNCCTはこの数字について「非現実的」と否定し、実際の被害件数ははるかに少ないと主張している。政府関係者は「多くの報告は被害者の証言に依拠しており、正確性に欠ける」と述べた。
オンライン詐欺や人身売買の撲滅に向けた具体的な行動が求められる中、カンボジア政府は新たな委員会の設立を通じて問題解決を図る意向を示している。国際的な非難を受ける中で、政府の施策が実効性を発揮し、カンボジアの信用回復に寄与するかどうかが今後の注目点となる。
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