おすすめのプロモーション

<写真:Khmer Times>
アジア開発銀行(ADB)は9日に発表した「アジア経済見通し(ADO)2025年4月版」において、カンボジアの2025年における実質国内総生産(GDP)成長率を6.1%と予測した。
2024年の成長率は6.0%で、2026年には6.2%と、緩やかな加速が見込まれている。
この見通しについて、ADBカンボジア事務所のジョートサナ・ヴァルマ代表は記者会見で、アジア太平洋地域全体の成長動向に触れつつ、カンボジア経済は縫製品および非縫製品の製造業の回復、ならびに観光業の持続的な復調を背景に、安定的な成長を維持すると強調した。
報告書では一方で、米国の通商政策、中国不動産市場の不安定さ、そして地政学的緊張の継続といったグローバルな不確実性が、カンボジア経済にとっての下振れリスクを増大させていると指摘している。
ADBはまた、カンボジア政府が進める貿易の多角化政策や輸出品目の拡充に一定の信頼を示しており、地域的な包括的経済連携(RCEP)協定を活用した貿易促進、複数の自由貿易協定(FTA)の発効、さらにASEAN諸国との協力強化などの取り組みを評価した。
観光業に関しては、2025年2月時点で126万人以上の外国人観光客を受け入れており、回復傾向は見られるものの、訪問者の消費行動については依然として新型コロナウイルス流行前の水準には至っていないと分析されている。
ADBのカントリー・エコノミストであるミラン・トーマス氏は、世界経済の基調見通しや米国を含む主要国の通商政策の不透明性がリスク要因であるとし、カンボジアの2024年実績および中期見通しを提示した。また、経済のデジタル化に伴う政策課題にも言及し、今後の対応の重要性を強調した。
さらに、プリンシパル・エコノミクス・オフィサーのポウラン・ドゥオン氏は、2024年の経済加速に加え、約9億ドル規模の財政赤字、歳入および歳出の減少といった財政面の現状について報告した。その上で、製造業品に対する外需の増加と観光業の回復が、今後の成長を下支えするとの見解を示した。
なお、今回の経済見通しは2025年4月2日に米国が発表した新たな関税措置の前に策定されたものであり、2024年3月時点で実施されている関税のみを反映した前提で構成されている。今後の通商動向が予測に与える影響についても注視が必要である。
※ポステオリジナルニュースは各ニュースソースを参考に編集・制作しています。